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結婚飛行での交尾を終え、巣に戻った女王バチは、働きバチからローヤルゼリーを与えられます。すると女王バチのおなかがふくれ、早ければ2日後くらいから産卵がはじまり、夏の高温期や冬の厳寒期を除いて2年〜4年もの間毎日つづきます。女王バチは、いつもたくさんの働きバチに囲まれていますが、このとき、働きバチの産卵能力をおさえる特殊なフェロモンを分泌しています。メスであるにもかかわらず、働きバチが卵を産めないのはこのためです。何かの事情で女王バチがいなくなると、働きバチたちは産卵をはじめますが、交尾をしていないため無精卵であるオスバチしか産めません。
春になると、働きバチによって、王台という女王バチを育てるための特別な部屋がつくられます。女王バチも働きバチもメスなので、もともとはまったく同じ有精卵です。3日後に孵化したときも同じ幼虫ですが、王台で生まれた幼虫だけが働きバチからローヤルゼリーを与えられ、女王バチへと育ちます。しかし、女王バチになるのはそう簡単ではありません。王台は10個ほどつくられるので、女王バチ候補の幼虫はその数だけ産まれます。命をかけた決闘の末勝ち残った一匹だけが新しい女王バチとなります。その頃、古い女王バチはその巣を出て、新しい巣へと移り住んでいます。
女王バチは、育児部屋の大きさを前肢で計り、大きめの部屋にオスバチの卵を、小さめの部屋に働きバチの卵を産みつけます。メスである働きバチの卵を産むときには、卵を産み落とす直前に体に貯めておいた精子を送り出して受精させます。働きバチの幼虫には、最初はローヤルゼリーとあまり変わらない食事が与えられますが、幼虫がどんどん大きくなりはじめる3日目頃には食事に花粉や蜜が混ざりはじめます。食事の違いから幼虫の期間も女王バチが5.5日であるのに対し、働きバチは6日ほど。サナギの期間もそれぞれ7.5日、15日程度です。その後羽化して成虫となった働きバチは、掃除や子育てなどの仕事をするようになります。
女王バチと働きバチが有精卵から産まれるのに対し、オスバチは無精卵から産まれます。食事は働きバチと同じものですが、オスバチのほうがからだが大きいので、働きバチより多めの量が与えられます。日が経つにつれ、食事に花粉などが混じるようになりますが、働きバチのものよりもその混入率は大きく、働きバチのほうがよい食事を摂っているといえます。孵化するまでの日数は働きバチと同じくらい、幼虫やサナギの期間はやや長い程度です。