健康食品、化粧品、はちみつ・自然食品の山田養蜂場。「ひとりの人の健康」のために大切な自然からの贈り物をお届けいたします。
春から初夏にかけて、新しい女王バチ候補たちがサナギへと育つころ、古い女王バチは働きバチからローヤルゼリーをもらえなくなります。そして、女王バチのおなかが小さくなり、産卵が止まると、いよいよミツバチたちの引っ越しがはじまります。新しい女王バチに巣をゆずるために、古い女王バチがたくさんの働きバチやオスバチといっしょに巣をはなれることを、巣分かれ、または分封(ぶんぽう)といいます。
巣から出て行くのは、古い女王バチと約半数の働きバチ、そしてオスバチたち。それぞれが胃の中にたくさんの蜜を入れて飛び立つので、それまで巣に蓄えておいた蜜が半分以下に減ってしまうほどです。いわば、ミツバチの財産分与のようなものかもしれません。財産分けされた蜜は、当座の食料に使われるほか、働きバチのからだの中で蜜ろうへと変化し、引っ越した先で新しい巣をつくるのに使われます。
引っ越しは、風の少ない晴れた日に行われます。まず、たくさんの働きバチたちが巣から飛び立ち、その後、女王バチやオスバチが巣をはなれます。空を埋めつくすほどのミツバチの大群は、羽の音と特殊な匂いを発します。まもなく、女王バチが木の枝などにおちつくと、そのまわりを働きバチが取り囲み、球のようなかたまりをつくります。すると、その中から何匹かの働きバチが飛び立ち、新しい引っ越し先を探しに行きます。そして、よい場所を見つけると、かたまりになっていたミツバチたちはいっせいに移動し、新しい家づくりをはじめるのです。
およそ半数ほどのミツバチが残った古い巣では、新しい女王バチ候補の部屋である王台で、サナギが羽化しています。ふつうは、最初に羽化したサナギが、あとに生まれてくる候補たちの部屋を壊して、自分の女王の座を確かなものにします。2匹の女王バチ候補が対立してしまうときは、たった1匹の女王の座をかけて、激しい闘いがはじまります。しかし、決闘をすれば、勝ち残ったほうもケガを負う可能性が高く、つよくて丈夫な女王バチにはなれません。それで、最初に羽化したサナギが巣を出て、分家をする場合もあります。こうして、ひとつの巣に1匹の女王バチという家族ができあがるわけですが、前の代の女王バチが分家したあとなので、働きバチの数や食料がじゅうぶんでなく、苦しい生活が待ち受けています。