養蜂場だより

ミツバチが足りない

ミツバチ不足の問題

昨年の春から、日本国内でのミツバチ不足のニュースが報道されています。これは、イチゴやスイカなどの花粉交配用ミツバチが足りないためです。
私たちのところにも、受粉用ミツバチをわけて欲しいという問い合わせが、増えてきています。しかし、私たちははちみつやローヤルゼリー生産が専門なので、受粉用の蜂を急に増やすということはできません。
実は、日本中でミツバチが減っている一番の原因は、ミツバチの体に寄生するダニによる被害なのです。また、東北や北海道などでは稲に使用する農薬によって、ミツバチが深刻な被害を受けているとも聞いております。そして、養蜂家が老齢化し、年々その数が少なくなってきているということも、国内のミツバチ不足の大きな要素でしょう。

冬には増群出来ない

「ミツバチは、空の巣箱を置いておくと勝手に入ってくる」または「野生のミツバチを捕まえる」と思っている方が時々おられます。
稀には空の箱に、分封(巣別れ)した群が入ってくることもありますが、ミツバチを増やす時は、現在飼育しているミツバチの群を、人工的に巣別れさせるのです。
その時期は、春から初夏に限られますので、冬になってからイチゴの受粉のためにミツバチが欲しいと言われても、なかなかご要望に応えることができないのです。

どうやって増やす?

例えば4万匹入っている巣箱があるとします。その巣箱から、4千匹ずつ10箱に分けると、そのうちの9箱には女王蜂がいません。そこで、私たちは働き蜂の幼虫(卵の段階では働き蜂も女王蜂も同じメス)に連続してローヤルゼリーを食べさせ、新しい女王蜂を人工的につくるのです。もちろん、ローヤルゼリーをつくり出すのは、若い働き蜂ですから、人間が餌を与える訳ではありません。
実はこの方法は、途中まではローヤルゼリーを生産する技術と全く同じなので、山田養蜂場の養蜂スタッフは、女王蜂生産についても得意分野だといえます。
こうして生まれた新女王蜂が卵を産み続け、ミツバチの群が夏から秋にかけて大きくなり、順調に増えれば、各巣箱に2万匹以上の立派な一群となって冬を迎えられます。

細かい管理が大切

ミツバチは社会性の昆虫ですので、巣の中では、掃除、子育て、女王蜂の世話、巣造りなどの仕事が分業で行われています。そのため極端に小さな群に分けると、分業が成り立たず、弱群となります。そうすると、秋にスズメバチに滅ぼされたり、越冬できなかったりということも起こるのです。
そのようなことのないように、巣の中の食糧(はちみつや花粉)が不足しないように、また外敵から守るなどの管理が、とても大切になります。
私の担当する巣箱は約150個ありますが、繁殖時期には全ての巣箱の蜂数やミツバチの状態などに気を配り、昨年よりもミツバチを増やしていきたいと思っています。

  •     鏡野町にある当社の栗谷養蜂場。寒さによる蜂数の減少を抑えるために、巣箱に保温用のカバーをかけています。

    鏡野町にある当社の栗谷養蜂場。寒さによる蜂数の減少を抑えるために、巣箱に保温用のカバーをかけています。

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