健康食品、化粧品、はちみつ・自然食品の山田養蜂場。「ひとりの人の健康」のために大切な自然からの贈り物をお届けいたします。
今年になってから新聞やテレビで、農作物の受粉用に貢献しているミツバチの不足について広く報道されています。その原因のひとつとして、ミツバチに寄生するダニが重大な被害を及ぼしていると考えられています。
そのダニの名前は、ミツバチヘギイタダニといい、雌の成体(親)は、体長約2ミリの楕円形で褐色。雄は体長1ミリの円形で乳白色をしています。ミツバチの幼虫が大きくなったときに、雌の親ダニが働き蜂に見つからないように巣房に侵入します。やがてその巣房に蓋がかけられ閉鎖空間になると、雌ダニがミツバチの前蛹(ぜんよう)(幼虫と蛹(さなぎ)の間の時期)から体液を吸い、産卵を行います。卵から孵った複数の子ダニは親ダニの保護のもとで育ち、1週間ほどで子ダニから親ダニになり、交尾をします。やがてミツバチが成虫になり巣房の蓋を開けて出てくるときに、ミツバチの体に便乗して外に出てきます。そして、違う巣房に寄生し、この繁殖行動を繰り返すことで爆発的に増加するのです。
ミツバチの体や頭にくっついて巣の外に出ているミツバチヘギイタダニ
正常に見えるミツバチでも、蛹時代に体液を吸われた働き蜂は、育児が上手くできなくなります。ダニが増えてくると1匹のミツバチの蛹に対し複数の親ダニが体液を吸い、成虫になれたとしても翅(はね)が縮れて飛ぶことさえできない奇形蜂になってしまいます。これらの蜂が、複数目に付くようになった頃は、深刻で巣の全滅が近いことを意味しています。恐ろしいこの小さな吸血鬼は、ミツバチの間にだけ起こるウイルス病までも媒介するのです。
このダニの対処方法は難しく、欧米では数百万箱以上ものミツバチが全滅したといわれています。実はこのダニの詳しい生態についてはよくわかっておらず、養蜂部では有効な対処方法を確立するために世界中の研究者と共同で基礎研究を行っており、ダニに抵抗性のあるミツバチの育種、ダニの習性を逆手にとった防除方法などを開発して、世界中の養蜂家を救うことをめざしています。
働き蜂の体についたミツバチへギイタダニの雌
ダニの影響で翅が縮れてしまった働き蜂(写真中央)