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養蜂場だより

百花の森

知り合えた森の木々

養蜂場の周りの里山は、すっかり夏の装いとなり、ミツバチは毎日、濃緑の木陰に飛び込んでいきます。一見して花があるとは思えないような鬱蒼とした雑木林にも、春先から初秋まで、さまざまな木の花が咲き続けて、ミツバチを誘っているのです。
ミツバチを飼っているおかげで、知り合った山の花々がたくさんあります。キハダ、エゴノキ、エンジュ、オオバアサガラ、リョウブ、ナツハゼなどの名前は、もし私が養蜂家になっていなかったら、おそらく覚えることもなかったでしょう。

自然のブレンド

百花蜜と呼んでいる蜂蜜がありますが、それはこのようにさまざまな花が咲く時期に採取した蜂蜜のことです。
レンゲやアカシア、ミカンなど、花の名前をつけた蜂蜜は単花蜜といって、その花の蜜だけに狙いを絞って採蜜したものです。これは、前もって巣箱の中の蜜を空にしておいたり、移動のタイミングをはずさないようにしたり、他の蜜と混じらないように注意して採取するので、養蜂家の技術にかなり左右されます。
それに対して、百花蜜は文字通りさまざまな花の蜜が、天然のブレンドとして入っている蜜なので、まさに自然からの頂き物という感じがします。

風味の違いを楽しむ

採蜜をする時期によって、咲いている花の種類は違いますので、色も風味も当然異なります。ミツバチは、近くにある花、たくさん咲いている花、糖度の高い花を優先的に訪れ、また同じ花に通う習性がありますので、極端な場合は並べている巣箱によっても、味や風味が異なるというようなことがある訳です。
木の種類によっては、蜜をよく出す年と出さない年、いわゆる表年と裏年があり、また、その年の天候などに左右されるところが多いのが、百花蜜の特長ともいえるのです。
里山の蜜にはさまざまな風味があり、その違いを味わうのが百花蜜の楽しみ方とも言える訳ですが、自分が採った蜂蜜は、やはり一番美味しいですね。

百花の森で蜂蜜を味わうとき

百花蜜をつくり出す樹種が多様で豊かな森は、草木やミツバチを養っていますが、他の多くの動物の命もまた育んでいます。その中にはもちろん、ミツバチの天敵となるカエルやクモ、トンボ、スズメバチなども棲んでいます。
しかし、食うものと食われるものの、食物のバランスがあってこそ、豊かな生態系が保たれ、ミツバチが生きていくこともできるのですから、自分に都合の悪いものだけを悪者扱いするわけにはいきません。
このような多くの命を育む里山の養蜂場で、複雑なハーモニーを奏でる百花蜜を味わうとき、これが蜂飼いの醍醐味だな、と思うとともに、すべての命がつながっていることを感じるのです。

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