山田養蜂場
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養蜂の現場から


ミツバチの越冬




山田養蜂場 養蜂部
藤善 博人

   すっかり秋も深まり、そろそろ木枯らしも吹き始めます。夏の間ミツバチの羽音や子供たちの歓声でにぎやかだった養蜂場もすっかり静かになり、そろそろ今年一年を振り返る季節になって参りました。
 「農」の世界では、大体毎年同じ季節に同じ作業を繰り返すものですが、天候に左右されるため、例年とまったく同じとはいきません。養蜂場の周りの里山や、平野部の木々や草花の状態に注意し、開花の状況に一喜一憂しながら一年を過ごします。
 今年の夏は長い間残暑が続く、暑い夏でした。このような年はミツバチの活動も活発で、春から夏にかけて受粉を助けた果樹や里山の木々も、今年はおおむね豊作となったようです。


 今、冬越しのため、ミツバチの巣箱は暖かい南の養蜂場へ移動しました。巣箱の中では、女王バチは産卵をやめ、ミツバチの数も夏の最盛期から比べると三分の一以下になっています。暖かい日には、巣箱を飛び立つ働きバチの姿を見ることができますが、繁殖の時以外には仕事をしない雄バチはすっかり追い出されてしまい、もう一匹も巣箱の中には残っていません。産卵の季節は終わり、この秋に育った働きバチと女王バチだけで、貯めてあるはちみつと花粉を食べつないで、ウメの花が咲き始める頃までの越冬生活に入ります。この、今年最後の働きバチたちには、越冬用の花粉やはちみつを集めてくるという仕事だけではなく、体を寄せ合いながら静かに厳しい冬を生き延び、新しい世代に群の命を引き渡すという、大事な使命があるのです。

 もちろんわれわれ養蜂家も、ミツバチが無事冬を越せるようにミツバチに協力しなければなりません。巣箱内のミツバチを密集させて、暖が取れるように、二段から三段に積み上げていた巣箱を一段にして、冷気が入らないように出入り口の巣門を三分の一ほどに狭めています。さらに、隙間風が入らないようにビニールカバーで巣箱をおおって、冬支度は完了です。空になった巣箱や巣板は、そのまま放っておくと、巣の材料であるミツロウを餌にする巣虫という虫によって、巣板をボロボロにされてしまいます。
 そこで巣箱の内側をガスバーナーで焼いて清潔にして、巣板はガス燻蒸した上で掃除して保管します。雨風に打たれて傷んだ巣箱の外側の塗装や、壊れたところの修理も今のうちにやらなければなりません。今年の仕事が終わると同時に、もう来年の仕事の準備が始まっているのです。


 




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